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漢文読書のためのメモ

至誠

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吉田松陰

吉田松陰先生を私淑している友人から幕末の話を聞き、「吉田松陰(1)、(2)」山岡荘八山岡荘八歴史文庫)と「小説 吉田松陰童門冬二集英社文庫)を読んだ。
あえて「世に棲む日日」司馬遼太郎(文春文庫)は後回し。

萩市観光協会公式サイトによると、
吉田松陰先生は、

幕末、激動の時代を切り拓いた熱き”志”の指導者
幕末動乱の時代に生を受け、「至誠」を貫き通し、勇敢に行動した吉田松陰松下村塾で多くの志士を育て、松陰は29歳という若さで亡くなりますが、その“志”は塾生たちに受け継がれ、明治維新の原動力となりました。

という、熱い方であります。
生没年は、天保元年〜安政6年(1830〜1859)。

至誠而不動者、未之有也

松陰先生の名言に「至誠にして動かさざる者は、未だ之れ有らざるなり。」という一文があります。
座右の銘にして暗唱されている方も多いと思いますが、これは、「孟子」の中に出てくる漢文であります。

原文:
 至誠而不動者、未之有也。 「孟子」(離婁章句上)

訓読:
 至誠にして動かさざる者は、未だ之れ有らざるなり。

通釈:
 まごころ(誠の徳)を尽くせば、相手が心を動かさないことは、この世に未だかつてないことだ。
この「至誠」という言葉は、旧大日本帝国海軍士官学校である海軍兵学校の5つの訓戒、「五省」の一つ目にも出てきます。

一、至誠に悖る勿かりしか
  真心に反する点はなかったか

「至誠」という言葉を胸に抱いて生きていきたいと思います。


参考文献:
吉田松陰全集 第三巻」(講孟餘話)山口県教育会編纂(岩波書店、1940年)183頁
孟子」(離婁章句上) 内野熊一郎(明治書院 新釈漢文大系4)259頁